2025年度ビジネス・プランニング体験談

「起業家だからこそ得られた、仮説検証とピボットの実践知」

久田 友和さん(2024年度イブニングコース入学)(株式会社Info Hub 代表取締役/Founder)

久田 友和さん

なぜ履修したか

MBA在学中の2年に進級した2025年3月に、前職を退職し、自身の事業を立ち上げたタイミングで「ビジネス・プランニング」の履修を決断しました。理由は、起業のプロセスを包括的に学べるアントレプレナーシップの応用実践科目であり、スタートアップの起業のプロセスを、グループワーク中心のインタラクションのスタイルで体験できること、3か月でその重要な実務のポイントと意思決定のプロセスを体系的に身に着けられること、そして、グループ・プレゼンテーションを繰り返す中で、プロのVC(ベンチャー・キャピタリスト)を含め、多様な考え方やフィードバックなどの意見を聞くことができるという期待からでした。

授業で学んだこと

授業は、アイディエーション、ビジネスモデル、マーケット・リサーチ、プロトタイピング、ファイナンス・プランなどを策定しながら、最終的な事業計画に至るものです。事業計画を段階的に検討していく中で、トピックや概念が増えていく講義と、それに対するグループワークを繰り返すことで、プランの解像度を上げていきます。例年20名程度でのグループ・ワークを中心とする授業ですが、中野勉教授は1年間のサバティカル期間から戻られたばかりという特殊事情もあり、2025年のクラスは、イブニング4名、デイタイム4名の計2チーム8名という少人数の構成となりました。

中でも、ゲストとして来ていただいた、IPOを目指す経験豊富な実務家にオンタイムで詳しい体験談をお伺いできたことは貴重な時間でした。また、シリコンバレーの有力VCであるBGV(Benhamou Global Ventures)のGPとパートナーの方に来ていただき、グローバルな市場と展開についてお話いただいた上で、急遽「エレベーター・ピッチ」をする機会にも恵まれました。アメリカと日本のスタートアップへの投資の考え方の違いや、成功への夢と投資の世界の厳しさの一端も理解できました。そして、前年の優勝チームの皆さんに、ピッチの見本をクラスでご披露いただいた上で、こちらからのプレゼンテーションに対し、丁寧なコメントをいただきました。少人数のこともあり、例年「壁打ち」をお願いしている、日本を代表するVC3社と大企業の新規授業開発を専門とするコンサルタントに来ていただくことはできなかったのですが、来期からは通常通り予定されているので、これは今後の楽しみとさせていただきます。

それに代わる今年度の新たな試みとして、最終発表会は、青山の教室を飛び出し、東京の先端ハブである「麻布台ヒルズ」のTokyo Venture Capital Hub (TVCH) で行われました。ABSの在学生に加え、VCとCVCをお招きし、クローズドな落ち着いた雰囲気の中で、50名の参加者に対し、その他のABS修了生などのピッチと合わせ、6本の発表とミートアップを3時間にわたり試みしました。ファイナンスや長期的なアクセラレーションを含め、投資家目線での実践的なプレゼンテーションを先生から指導され、チーム一丸となって取り組みました。結果として、教室内でのプレゼンテーションとは全く異なる緊張感の中でのピッチの経験は、個人的に非常に有意義な機会となりました。

学んだ内容を今後どのように活かしていくか

教室でアドバイスをいただきながら、マーケット・リサーチのため、事業法人やNPO法人などにインタビューに行ったり、「壁打ち」のなかでピボットを繰り返し、グループのメンバーでディスカッションを深め、事業プランの解像度を上げながら、ファイナンス面を含めたプロトタイピングまで至ることで、私たちのチームは、マンション管理人の業務にAIやデジタル技術を応用し、総合物件管理ソリューションという事業に辿り着きました。最終的には、社会課題の解決に大きく貢献できる、実践的なプランを作り上げたと自負しています。

振り返れば、仮説検証を繰り返しながら、当初のアイデアに固執せず、スピード感を持って、どんどんピボットして行くマインドセットは、今後の自身のスタートアップとしての事業の考え方や姿勢として、大いに活かしていくことができる貴重な財産となりました。プロダクト・マーケット・フィットから考えて、ビジネスモデルとして成立するか、事業性・収益性はあるのか、スケーラビリティはどうすれば得られるのか、チームで壁にぶつかりながら体感することで、その実践感覚が磨かれ、覚悟と自信が初めて見えてくるものだと実感しました。この経験を活かし、今後は、「ビジネス・プランニング」で鍛えられた思考プロセスとマインドセットを積極的に活かしながら、自社の成長に真剣に取り組んで行きたいと思います。

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