2020年度アドバンスト・コーポレート・コミュニケーション体験談

担当:伊藤 晴祥准教授/高山 与志子先生/小方 信幸先生

「サステナビリティ経営の最前線」

玉垣 裕美子さん(2019年度フレックスコース入学)


玉垣 裕美子さん

なぜ履修したか

投資判断の材料として財務情報だけでなくESGなど非財務情報への関心が高まるなか、企業が長期にわたって成長していくことの意義、企業価値と社会への提供価値、ステークホルダーとの関係、サステナビリティ・ガバナンスなどについて、海外企業の動向を含めた最先端の研究に触れたいと考えていました。MBAではファイナンスの授業は必須になりますが、非財務情報を統合した経営のあり方とステークホルダーとのコミュニケーションについて学ぶことができるプログラムはABSの特徴であると思い履修を決めました。

授業で学んだこと

アドバンスト・コーポレート・コミュニケーション(ACC)は今年度よりIRコンサルティング会社のジェイ・ユーラス・アイアール株式会社の寄附講座として運営されています。そのため、日本企業のIRの現状や海外企業との比較、政策や研究機関などの最新動向が常にフォローアップできる環境で学ぶことができました。授業は北川哲雄先生、伊藤 晴祥准教授、小方 信幸先生、髙山 与志子先生をはじめとした教授陣の他にも、ゲストスピーカーとして毎回講師の先生が招かれ、内容の濃い課題が課せられました。論文や著書、企業の財務・非財務情報の開示資料などを用いた予習は毎週欠かせませんでしたが、その分確実に理解が深まりました。テーマは先進的で多岐にわたり、IR、ESG投資、サステナブルファイナンス、SDGs、CSV、CSR、コーポレート・ガバナンス、統合報告や情報開示のケース研究などそれぞれの領域の専門家、企業のIRご担当者、機関投資家などビジネスの現場で活躍されている先生との対話を中心に授業が進み、統合思考について一貫して学びます。ソーシャルオーディットやESGアナリストの可能性なども興味深い内容でした。企業のミッションやビジョン、パーパスなどからはじまり、経営戦略そのものの議論に発展するため、他の授業で学んだファイナンスや会計の知識も復習しながら身に付きますし、バックグラウンドの異なるクラスメイトの意見はそれぞれの業界の勉強にもなりました。特に最終課題のプレゼンテーション(統合報告書の分析)の考察は強く印象に残っています。すべてオンラインで行われたため先生や学生同士の交流が限られていた点は残念でしたが、毎回多くの先生が授業に参加してくださり熱心にご指導いただいたことはオンラインならではの貴重な体験で、ありがたく感謝しています。

学んだ内容を今後どんな風に生かしていきたいか

授業開始は2020年4月下旬で、COVID−19の感染が拡大し緊急事態宣言が発令されている最中でした。誰もが将来に対して不安を抱え、社会が脆弱であることに気がつき、生活が大きく変わろうとしていたタイミングで、社会や企業の持続可能性を考える機会になりました。授業で学んだ内容に加えて、改めて企業が直面している課題や期待されている役割、存在意義を見つめ直すことができたと思います。実際の仕事では新たな価値観を取り込み、投資家・ステークホルダーとのエンゲージメントに生かしながら、社会の変化とともにステークホルダーに配慮した経営について考え、実践を通じて学びを続けていきたいと考えています。

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