瀬川 侑汰さん(2024年度デイタイムコース入学)(IT企業勤務)
VUCAの時代を迎え、技術革新やグローバルネットワークの発展も著しい中、社会課題は減少するどころか、むしろ一層複雑化し、単一の解決策では対応できない構造を有していると感じています。だからこそ、これまでに培ってきた知識や就業経験をどのように活かせば、社会課題解決への一歩を踏み出せるのか、仲間とともに真剣に向き合い、実践的に取り組める点に強く惹かれました。
本講義は、システム思考の第一人者である熊平美香特任教授と、ビジネスの第一線でご活躍されてきた小林敦先生のお二人から、社会課題解決への理論と実践を同時に学べる、まさに唯一無二の機会でした。資本主義の枠組みの中で、どのように多くの人を巻き込み、共感を創出し、持続可能な事業として社会に本質的な変化をもたらしていけるのか、取り組んでいきたいと考え履修いたしました。
本講義では、ABSでの2年間で培った知識を総動員しながら、多様なフレームワークを学習・実践いたしました。社会課題を構造的に捉える「氷山モデル」や因果関係を可視化する「ループ図」、当事者の感情や思考を深く理解する「共感マップ」などを活用し、課題の根本原因を特定した上で、最終的に実効性のあるビジネスモデルやプロトタイプを設計いたしました。
一つの小さな課題にも多様な要素が複雑に絡み合っていることを明らかにし、それらを統合して具体的な事業構想へと昇華させるプロセスは決して容易ではありませんでしたが、ホワイトボードいっぱいに構造を書き出し、議論を深める中で、「この社会課題にはこの方法で挑む」という明確な方向性が見えた瞬間の達成感と誇らしさは、本講義ならではの醍醐味であったと感じています。
また、チームでの協働そのものが、システム思考を体現するプロセスでした。メンバーそれぞれが異なる専門性や強み・弱みを有していたからこそ自然な補完関係が生まれ、構想とプロジェクトの精度を飛躍的に高めることができました。さらに、NPOを初めとした社会起業家・CSV投資家によるゲスト講義を通じて、ビジネスモデルを多角的に評価・改善していただく機会を得られたことも、事業構想の現実性を高める貴重な機会であったと実感しております。
本講義での学びを糧に、さらなる挑戦の意味も込めて、チームで青山学院大学主催のビジネスプランコンテストに出場いたしました。その結果、50組を超える応募の中から最優秀賞を獲得することができました。
この成果を一つの契機として、現在はまだ小さな一歩ではありますが、法人の設立および本格的な社会実装に向けた準備を進めております。
講義の中で生まれた構想が教室という枠を越え、社会へと接続する挑戦へと発展したことは、本講義を履修したからこそ得られた大きな機会であったと感じております。今後は、システム思考で培った視座と実践力を実務の現場においても発揮するとともに、小さな一歩を積み重ねながら、社会に持続的な価値を創出できる存在でありたいと考えております。
最後になりますが、ご指導いただいた熊平先生、小林先生をはじめ、ご支援くださった多くの皆様、そして互いに刺激し合いながら挑戦を続けたチームメンバー3名に、心より感謝申し上げます。