8年にわたる会社と大学院の「二足の草鞋生活」

小方 信幸さん 2014年度博士号取得

ABS入学の動機

私は40歳代半ばから、証券業務の実務経験を活かし、研究と教育に携わる大学教授になりたいという夢がありました。あるとき、大学教授になるには博士号があった方よいという話を聞き、大学卒業30年目、53歳となった2007年の春に、奮起して3年制ABS・MBAコース(当時存在した制度)に入学しました。ABSを選んだのは、ファイナンスをはじめ各分野で優れた先生が多数おられるからです。かくして、8年にわたる会社と大学院の「二足の草鞋生活」が始まりました。

D.B.A.コースでの学生生活

2010年3月にMBAを取得し、同年4月にD.B.A.コースに進学しました。漸く博士学位を目指す研究生活が始まりました。ところが、入学して間もなく、私は当初の研究テーマに疑問をもち、新たな研究テーマを決めるまでに1年を要しました。D.B.A.コースでは最高齢の私としては時間的に痛いロスでした。しかし、迷い悩み考えたことで、新しい研究テーマは納得のいくものとなりました。
研究で壁に突き当たったとき、それを乗り越えるには自分自身が努力する以外に方法はありません。しかし、そのようなとき、ABSの先生方の厳しくも適切なご助言と、D.B.A.院生仲間からの励ましは、壁を打ち破る強力な援護射撃となりました。特に、親身にご指導いただいたABSの先生方には、言葉では言い尽くせないほど感謝しております。
ところで、私の場合は、研究テーマのほかに年齢による体力の衰えも辛いものでした。53歳でMBAコースに入学したとき、友人や知人のなかには、年齢から私の挑戦を「無謀過ぎる」、「意味がない」などと冷ややかな目でみる人もいました。
しかし、私には今やらなければ一生後悔するという思いがありました。そして、幾つかのハードルを乗り越え、2015年3月に博士学位を取得することができました。しかし、そのときすでに、私は還暦と定年退職を迎えていました。

博士学位取得後

一般的には、60歳で学位を取得しても、大学教員になるのは難しいといわれています。しかし、博士学位取得の翌月、2015年4月に私は大学教授になりました。その前年に、現在勤務する大学の教員公募に応募し、その結果、念願の大学教授になることができました。選考の際に、博士学位(見込み)と実務経験が評価されたようです。
現在、私は大学教授として若い人達とともに学ぶ喜びを噛みしめております。振り返れば、学位取得までの道のりは平坦ではありませんでした。しかし、充実した日々を送ることができました。また、志があれば道が開けることを実体験することもできました。実務経験を活かして学位取得と大学教員を目指す方には、ABS・D.B.A.コースに挑戦されることをお勧めしたいと思います。

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