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青山学院大学大学院 国際マネジメント研究科 体験的学習プロジェクトについて
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Business Analysis and Corporate Communication System (BACCS)を履修して
山田智洋 2010年フレックスコース入学 BACCS体験レポート 総合的な視点から「企業価値」を創造するシナリオを描く

1.受講目的 〜「企業価値」とは?〜
経営者の企業経営の究極の目的は「企業価値」の向上であることは疑う余地はありません。では、そもそも「企業価値」をどのよう評価すればよいか?これをアナリストの業務の追体験で学ぶのが、体験的学習プロジェクト「Business Analysis and Corporate Communication System(BACCS)」の目的です。
現在のファイナンスの主流の理論では、「企業価値」は、企業が将来生み出すと予測されるキャッシュフローの現在価値の総和であるとされていますが、この理論に即して評価しようとしても、簡単に「企業価値」を評価できるものではありません。企業が将来生み出すキャッシュフローをどのように定義するのか、何を業績ドライバーにするのか、何を割引率に用いるのか、こうした実務で必要とされる具体的な理論をBACCSでは学ぶことができます。

2. 講義概要 〜バイサイドアナリスト業務の追体験〜
アナリストとは、企業業績を分析する専門家であり、その中のバイサイドアナリストは、運用会社に属し、自社で投資するために企業の業績予想、株価判断を行うアナリストです。このバイサイドアナリスト業務の追体験では「企業価値」の評価、DDM(配当割引モデル)による投資判断の手法を学んでいきます。
具体的な1年間の講義の流れは、前期でバイサイドアナリストとしての基礎を学び、夏休にグループワークで3社の今後10年間の業績予想、企業価値の評価、投資判断をまとめたアナリストレポートを作成・プレゼンテーションを行います。後期には最終課題として個人でのアナリストレポートの作成・プレゼンテーションとなっており、1年間を通じて段階的に難易度が増し、自分の成長が確認できるプログラムとなっております。
プレゼンテーション後は、実務経験豊富な講師陣から鋭い質問、履修生からのフィードバックがあり、その厳しさにショックを受ける一方、自分のプレゼンテーション、アウトプットに対して多くの人から客観的な意見が頂ける貴重な場でもあります。
アナリストレポート作成にあたり苦労したのは、3社各社の10年間の業績予想のシナリオに合理性を持たせることは当然のことながら、各社が工夫を凝らし自由なスタイルで公開し、相対比較が困難な情報を企業間で比較ができる情報に整理することでした。

3. 履修にあたって 〜アカウンティング Plus〜
BACCSでは、財務3表(貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書)との知の格闘は避けて通ることはできませんので、アカウンティングの基礎知識は最低限必要となります。基礎知識が不足している人には豊富な実務経験に基づいた理解しやすい補講が前期に設けられており、アカウンティングが苦手な方でも自分の努力次第でキャッチアップは可能な環境があります。是非チャレンジし、財務3表との知の格闘を楽しんでください。
企業の業績予想、業界/企業分析にはアカウンティングの知識はもちろんのこと、1年生の時に学ぶマーケティング、経営戦略、ファイナンス等を組み入れ、それを高めていくことが必要とされます。

4. BACCSに興味のある方へ 〜自分を高める環境〜
BACCSは他の体験的プロジェクトと比較するとグループワークは少なく、個人ワークがメインとなり、レポートの作成、プレゼンテーションを一人で行わなくてはならず、負荷が高く、その分得られるものは多いと思います。
プレゼンテーション後の、実務経験豊富な講師陣とのバトルで自分の論理的思考能力、分析能力で論破できるかトライしてみてください。是非、BACCを自分の能力を高める場にしてみてはいかがでしょうか。



Business Analysis and Corporate Communication System (BACCS)を履修して
金子拓哉 フレックス2年 BACCS体験レポート 洞察力のある分析から合理的なストーリーを描く

1.目的 〜客観的に企業を分析し、本質を追及する〜
ユリウス・カエサルは「人は自分が欲するようにしか物事を見ない」と、人間の欠点を述べています。
彼が言うように、人間は自分が知らず知らずのうちに主観やステレオタイプの虜となってしまい、自分に都合の良いように現状を解釈し、不合理な行動をとってしまう傾向があります。
我々MBAの学生が携わる(あるいは携わろうとしている)ビジネスにおいてもビジョン達成に向けた情熱は必要条件ですが、それが独りよがりの企画にならず、顧客や市場に受入れられ社会善となって初めて"Going concern"なビジネスとして付加価値を創造することになります。

体験的学習プロジェクト「Business Analysis and Corporate Communication System(BACCS)」では、機関投資家やアナリストになって、対象企業を客観的かつ冷静な眼で様々な視点から分析評価し、合理的な意思決定を行う訓練をします。さらに、企業経営者として資本市場とコミュニケーションをし、企業価値向上には何が必要かを理解する能力を陶冶します。
これまでのMBAで培った知識とビジネスセンスを総動員する「知の格闘」を経て、企業の本質を真摯に追及する姿勢を自我の潜在意識にまで透徹させて身につけるのが本科目の目的です。


2. バイサイド・アナリスト業務 〜定量情報から合理的な物語を描く〜
バイサイド・アナリストとは機関投資家に属するアナリストのことです。アナリストの業務を追体験することで企業価値評価や株価構成要因への理解を進めます。具体的には、企業の財務諸表や商品、サービスなどのアウトプットを「虫の眼」で仔細に観察し、フレームワークを用いてあらゆる角度から分析します。それぞれの企業特性を理解し、「鳥の眼」で市場全体を俯瞰しながら、自分なりの仮説(ストーリー)を描いて長期予想をつくり、DDM(配当割引モデル)評価法で株価算定を行ないます。
自分は、企業の「誕生→成長発展→成熟→衰退」物語を描くということを常にイメージしていました。栄華を極めた帝国もいずれ必ず滅びるというのは歴史の宿命です。定量的なデータを基にして、「この企業は何を目的として、今どの段階にあって、今後も成長しつづけるのだろうか」というような物語のシナリオをいろいろな角度から検討していました。


3. IRオフィサーの業務 〜他者を通じて自己を知り、企業価値向上へフィードバックしていく〜
企業と資本市場を円滑につなぐのがIRオフィサーの役割です。授業では、企業の経営状況を深く理解した上で、企業価値向上に資するディスクロージャー(情報開示)のあり方を検討します。具体的には、特定企業のCEO、CFO、IRオフィサーになったつもりで機関投資家向け説明会を疑似体験します。
企業と資本市場のコミュニケーションを通じて、企業の自己認識と資本市場での企業への評価のズレが露わになります。なぜズレがあるか言うと、多かれ少なかれ企業は「自分が欲するようにしか物事を見ない」からです。この歪みを認識し、資本市場が求めていることを知り、自己のビジネスを改善し、その結果を理解してもらうことが企業価値向上に直結するのだと実感することができました。


4. BACCSに興味がある方へ 〜切磋琢磨する環境〜
BACCSのアピールポイントは、最前線で活躍される優れた講師陣やゲストスピーカーから薫陶を受けることができる点です。また、履修者自身もそれぞれの分野でプロフェッショナルの精鋭が揃っています。仲間たちの学習意欲が非常に高く、切磋琢磨して自分も高めることができることは、本科目ならではの醍醐味です。
特に自分の書いたアナリストレポートが履修者に開示され、質問や評価などのフィードバックを受けるときには緊張したものです。自分のアウトプットに対して第三者から客観的な意見を聴くという機会は、社会生活ではあまりないので非常に勉強になりました。
最後に、本科目は2011年で3年目になります。時代の要請に応えながら、常に授業内容をブラッシュアップして適応変化していく点も魅力の一つです。BACCSは講師陣だけでなく、履修者全員でカタチを創造していく授業だと思います。皆さんもBACCSで共に「知の格闘」をしてみませんか。




Business Analysis and Corporate Communication System (BACCS)を履修して
斎藤 康弘 2010年フレックスコース修了 バイサイド・アナリストとコーポレート・コミュニケーション担当者の2つの視点を体験的に学ぶ

1. カリキュラム概要
「BACCS(Business Analysis and Corporate Communication System)」科目は、MBA1年時に学んだ知識である、ファイナンス、アカウンティング、戦略論、マーケティング論、オペレーションズ・情報システム等を組合せながら、証券市場の2つの視点について通年で学ぶ体験的学習プログラムです。1つ目は、機関投資家側に所属する証券アナリスト(バイサイド・アナリスト)の視点。2つ目は、企業側のコーポレート・コミュニケーションを担う担当者(CEO、CFO、IRオフィサー)の視点です。いずれも、日本有数の実務家の講師のもと、個人学習とグループワークで構成されています。

また、2つの視点の共通項目として、プレゼンテーション能力の向上を目指します。それぞれの成果の発表時には、外部から実務の専門家にご参加いただき、プレゼンテーション全体の厳しい評価を受けます。これにより、それまで体系的に学習したアウトプットを単に発表して終わらせるのではなく、ビジネス・プロフェッショナルの現場で通用する説明能力の修得が可能となります。


2. バイサイド・アナリスト業務の体験的学習
実際のバイサイド・アナリストの業務として、「業界/企業分析」→「業績の長期予測」→「株価予測」→「アナリストレポート作成」の4つの一連のプロセスを学びます。



最も重要な点は、各種理論を照応しながら対象業界/企業の置かれた環境、ビジネスモデル、成長ドライバー等を定性的に分析することに加え、将来10年の長期株価予測をするための定量的な分析を行うということです。B/S、P/L、キャッシュフロー計算書を含む過去の財務諸表分析と、定性分析の結果を踏まえて、将来の業績予測の仮説を組み立てます。そして、外資系機関投資家で多く使用されるDDM(配当割引モデル)方式をベースに、対象企業の長期の株価予測をし、現在の株価が割安なのか割高なのかを判断します。最終的に、これらの結果を、客観的なアナリストレポートに纏めていきます。

バイサイド・アナリストの予測は、一般的に10年程度の長期予測のため、対象企業について、深い洞察力に基づく本質的な分析が必要とされます。こうしたプロセスから私自身が感じたバイサイド・アナリスト業務の印象は、「論理的な思考の先に、アートが潜む」というものです。詳細の説明は、文字数の関係で割愛させていただきますが、是非、「BACCS」科目を履修していただき、アートの醍醐味を味わっていただければと思います。


3. IRオフィサー業務の体験的学習
企業側のコーポレート・コミュニケーションとIRについて、実務の事例を交えながら体系的に学習します。カリキュラムは、具体的なニュースリリースの配信から、決算説明会に関するIR業務まで多岐にわたります。続いて、日本を代表する企業のアナリスト説明会に実際に出席し、履修生は、筋書きの無いトップアナリストと企業側との高尚で且つ鋭い質疑応答を生で体験します。場合によっては、アナリスト説明会の内容次第で、株価に影響する懸念もあり、非常に緊張感のある実務を垣間見ることが出来ます。

最後の課題は、グループ対抗のプレゼンテーションです。互いに同じ企業を選定し、業績予測を含めた決算説明会のロール・プレイグを行います。グループ内で、CEO、CFO、IRオフィサー等の役割を分担し、プレゼンテーションは、すべて、ビデオ撮影され、先に述べた外部の専門家から、ビデオに写る自分の姿を見ながら厳しい評価をいただきます。ちなみに、私の場合は、自己嫌悪に陥るぐらい酷い状況でした。




4. 履修要件と履修生のバックグラウンド
履修の要件として、アカウンティングの知識が必要であることは間違いありません。なぜなら、最低限、業績予測をするためには、キャッシュフローを計算し、資産と負債純資産をバランスさせることが出来なければ、そもそも業績予測など不可能だからです。しかし、知識が乏しくとも、目標に向かって努力を惜しまなければ、不安になることはないでしょう。私自身も、もがき苦しみながらキャッチアップしていこうとすることで、何とか修了することが出来ました。MBAで根性論など、洗練されていない、下品だと叱られそうですが、事実なので、書かせていただきました。

しかし、誤解があるといけないので申し上げさせていただきます。先に述べた通り、講師の先生方は、実務家の権威であり、「BACCS」は、実務経験のある人にとっては、更なる高いレベルへのスキルアップを目指せるプログラムであることは言うまでもありません

最後に、2009年度の履修生のバックグラウンドは、総合商社、医薬品、金融、製造、サービス、流通、情報通信、物流、官公庁、起業家など、多種多様でありましたが、本プログラムの目指す証券アナリストやIRオフィサーとしての実務経験を有している人はおりませんでした。したがって、履修生それぞれにとって「BACCS」を履修する目的は、異なっていたと思います。しかし、1年終わった時の達成感は、皆の共通する思いだったと強く確信しております。